優先順位の変化
マーケティングアトリビューション分析(メディア別の効果測定)の最終的な目的は、マーケッターが彼らの行ったマーケティング行為やメディアの効果を追跡し、ビジネス全体に及ぼす影響を測定することにあり、クロスチャネルの測定がますます重要視されつつあります。
最近の調査によると、クロスチャネル測定およびアトリビューション分析についての関心は、2017年から増加するとみられています。現在、この技術は、これまでの一般的なオーディエンス分析やプログラマティック広告といった技術よりも優先度が高いと考えられてきました。2017年1月、Interactive Advertising Bureau(IAB、インタラクティブ広告組合)とWinterberry Group社は提携して、米国の100人以上のデジタルマーケティング及びメディア実践者を対象に調査を行いました。これらの回答者の約60%は、今年クロスチャネル測定およびアトリビューション分析に携わる事を予想しています。また回答者の約3分の1が、アトリビューション分析が重要な技術と考えられていた過去2年間と比較して、優先度がかなり高くなっています。
表1:下記の戦術に、現在または今後、時間や人材などを投資しますか?
アトリビューション分析の主な課題は、多くのブランドが陳腐化してきた方法を使用していることです。2016年12月、InfoTrendsは「Lead with Data; Follow with Print(データで始まり、印刷が続く)」という調査レポートを完成させました。この調査の目的は、マーケターがどの程度データを活用しているかを見極め、どのようにデータによって売上を増加させ、よりよい結果を達成しているかを示すことにあります。
この調査では、データソース、重要なデータプロセス(監査からマイニングや予測モデリングまで)、そしてデジタルマーケティングキャンペーンおよび印刷物に、どのようにデータを活用しているかについて調べました。250人以上のマーケティング部門の責任者と50人の代理店の経営者がアンケートに記入。これらの回答はマーケティングアトリビューション分析の重要性を強調していました。
企業の82%が購入に至る道程を追跡しています。30%は平均に分割するアトリビューション分析を使用し、17%は高度な変数を用いるアトリビューション分析を使用していますが、半分以上が一般に陳腐化していると思われている方法を使用していました。例えば分割をしないシングルタッチのモデルは容易に実施する事はできるものの、実際には不完全な方法です。こういったモデルは、一つの購入から得た全ての収益を一つのマーケティングチャネルに100%付与します。したがって複数のタッチポイントや複数のチャネルにわたって、実際の複雑なカスタマージャーニーを正解に反映することはできないのです。
どのアトリビューション分析モデルを利用していますか?
適切なアトリビューションモデルでは、顧客の購入、または、コンバージョンの決定に関する影響に比例して、全てのタッチポイントにポイントを付与します。アトリビューション分析の目標は、どのタッチポイントがより良い結果を生み出すかを判断することでしょう。各タッチポイントのコストを認識することによって、高度なアトリビューションシステムは、どのタッチポイントの収益性が最も高いかを示すことができます。この技術により、今まで以上にマーケティング支出を最適化することが可能となるのです。
驚くことではないのですが、アトリビューション分析の複雑さによって、多くの場合サードパーティーのサービスを必要とします。InfoTrendsの調査によると、企業の規模に関わらず、26%が全てのアトリビューション分析の作業をアウトソースしており、21%が社内と社外のリソースを組み合わせて実施しています。
どのようにアトリビューションを測定していますか?
InfoTrendsは、「Lead with Data…Follow with Print(データで始まり、印刷で続く)」調査を行っている際に、どのようにマーケティングアトリビューション技術と取り組み始めているかを多数の印刷会社にインタビューした。シンプルで無料な出発点はGoogleアナリティクスである。ある印刷会社は、Googleアナリティクスから得た情報によって、クライアントに下記のサポートを提供している。
- 何人がホームページを訪問しているか?
- 訪問者はどの辺りに住んでいるか?
- ウェブサイトはモバイル対応すべきか?
- どの外部サイトからトラフィックが誘導されているか?
- どのようなマーケティング戦略が最も多くのトラフィックを流入させるか?DM、あるいは新聞広告がトラフィックを急増させるか?
- 訪問者の何人がリード、または顧客となったか?
- 何らかの行動を喚起させた訪問者はどこから誘導され、サイトの中の何を閲覧しているか?
- 訪問者はどのブログのコンテンツを最も好んでいるか?
また、クライアントと分析を行うに留まらず、Googleが提供しているデータを活用して、自社のサイトのトラフィックも把握しているようです。
FacebookやTwitterの分析ツールを活用してソーシャルメディア活動を観察している印刷会社もいます。ファンページの増幅、リーチ、コンテンツ、エンゲージメントの傾向を測定するためのソフトは有償、無償を含め数多く存在しています。中にはFacebookのユーザーがどのように「いいね」を押し、コメントし、コンテンツをシェアしているかを判断する機能もあるのです。Twitterには、それぞれのツイートのパフォーマンスを表示するツイートダッシュボードがある。Twitterのユーザーが各ツイートにリツイート、「いいね」、返信した回数を確認する事ができます。また、フォロワーに関する重要な情報を入手でき、時間を経るにつれ、そのフォロワーの関心や属性について更に知ることも可能です。
その上、多数のサードパーティが提供する包括的なプラットフォームにより、各チャネルの有効性を判断するために、カスタマージャーニーをマッピングする事もできます。
結論
マーケティング部門は、キャンペーンの価値を実証し、どれが成功し、どれがしなかったかを示す必要があります。これは今後とも最優先課題となっている事項です。経営者にとっては、マーケティング予算をどのようにチャネルごとに振り分けるべきは重要であり、そのためにはチャネル別にトラッキングし、分析を行う必要があります。
出典:一般社団法人PODi http://podi.co.jp/
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