前回は カゴ落ちの最大の理由をご紹介しました。
カート前のお客様の状態を可視化してわかりやすく解説しましたが、この行動や考え方については 人間中心設計(英語資料)と アイトラッキング分析、ご存知 Google Analyticsなどから まとめて わかりやすく執筆させていただきました。
(-_-)/
英語文献が混ざりますが
お時間あればお読みください
さて、今回は、実際にカゴ落ち改善した事例としてbonobos.comのサイトで実際に購入完了するまでをご紹介します。bonoboのマーケティングについては以前「送料無料販促はリピート売上に関係する」でもご紹介した【攻めのマーケティング】で有名なアパレルショップです。
BONOBOSのカゴ落ち対策 事例
1.カートに入れるまで
レスポンシブサイト
というよりは、モバイルファーストの作りです。
カテゴリ / 商品リストページではモデル(マネキン)ではなく、商品のみの写真です。
ここにも、実店舗の実経験が活かされています。
【実店舗】
マネキン(店頭ディスプレイ)を見て → 商品を手に取り 広げる → 試着
【ネットショップ】
ランディングでコーデ確認 → カテゴリ陳列を見る → モデルコーデを見る
すべてがこの流れに当てはまるわけではありませんが、リアルとの壁を取り除くために試行錯誤された結果なのではないでしょうか?
2.カートに商品を入れる
モデルのコーディネートが大きく表示されます。
フラットデザインをうまく取り入れていて、わかりやすいサイズ・色選択もクリックでもタッチでも操作しやすいです。
カートに商品を入れてみました(-_-)/
カートに商品を追加すると、画面の右側からカートの中身が登場します。
この時、カートに入れても買い物をすぐに続けることも可能です。もちろん、カートに入れた商品は消えません。
3.商品購入に進む(CHECKOUT)
しっかりと商品は見えたままです。
新規顧客か既存顧客化の判断のため、まずはメールアドレスを入力させる項目だけ登場します。
たとえば、新規顧客がこの次の画面で離脱したとしても 買い忘れメールができますよね!
4.新規顧客として会員登録
間違っても「会員登録」とは言いません。
「もう少し、あなたの事を教えてくれませんか・・?」というラフな問いかけで 名前とパスワードを聞いてきます。
ちょっと乱暴ではあるのですが、メールアドレスと名前とパスワードが入手できるので、この段階で会員登録が完了というわけです。(-_-)ちょっと日本では難しいかもですが・・
5.配送先の入力
メールアドレス、名前とパスワードを入力して会員登録は完了しまして画面はガラリと変わりました。ですが、しっかりと購入商品のサムネールは画面の右側に表示されていて、たった3ステップで欲しかった商品が手に入ることがわかります。
配送方法の注意書きや
今買うとお得なオファーはありません。
(-_-;)
カゴ落ち改善で日本で言われていることは
ひとつも見当たりません
もちろん、お客様が購入するときにお伝えしないといけないことはたくさんあります。ですが、「今買う理由」よりも「今本当に伝えなければいけないこと」だけ表示することで、購入までのハードルを下げる努力が大切なのではないでしょうか?
オファーやクーポン、会員ポイントなどは 商品を購入した後のメールでいくらでもお伝えすることができるわけですから(-_-)/
6.お支払情報の入力
支払い方法については海外特有でとてもシンプルです。
多くの支払い方法が存在する日本では参考にすることが難しいかもしれません。そのため、支払い方法選択が一番の難関になると思います。「今 伝えなければいけない情報」を絞り込み、なるべくシンプルな表示になるように試行錯誤する必要がありそうです。
7.購入決定!
支払い方法を突破したらあとは、最終確認。
購入決定ボタンを押すだけです。
(-_-;)
ここでカゴ落ちさせてもらいました。。
さらに、次の日にはこんなメールも来ました・・
何か忘れてませんか?
あなたは、BONOBSのカートに入れてどこかに行ってしまいました。でも、よくあることですよね(笑)
BONOBOSでは、はじめてご購入されるお客様 全員 20%OFFさせていただいております!
クーポンを使って、購入を完了しましょう!
やっと、「今買う理由」オファーが明確になりました。
さらにこのメールの役目としては・・
(-_-;) カートで一日寝かせれば、20%OFFなのね・・
(゚∀゚) 裏ワザ発見!
(゚∀゚) 友達に教えてあげよう / twitterで拡散してやろう
(゚∀゚) <BONOBOSって一日寝かせれば20%OFFになるよ!すごい!
バイラルマーケティング販促 です。
購入時にはオファーを明確にせず次の日に、結構お得なオファーを受けたことで購入されるのはもちろんですが 割引を「裏ワザ」的にすることでバイラルマーケティングを成功させたと言われています。元々、創業からBONOBOSはバイラルマーケティングやソーシャルマーケティングを得意としていた企業なので、メール一通に至るまで しっかりとしたシナリオが組まれています。
あとがき
いかがでしたでしょうか?(-_-)/
カゴ落ち対策を含め、ECショップサイト デザインは レスポンシブデザインやフラットデザインなどの流行を取り入れて流行に乗ることではありません。もちろん、流行に乗っておしゃれに作るものでもありません。さらに付け加えると、WEB解析データに基いてすべてを設計するものでもありません。
顧客の目線や心境、実生活での行動、季節や天気など様々な要因を想像して シナリオを組み立ててWEB制作してこそ、はじめてデータが活用されるわけです。海外の情報やトレンド、通販セミナーやECコンサルタントの方法をそのまま試しても、データ分析のためのデータ蓄積から異なりますし、第一、自社のお客様と向き合うことにはなりません(-_-)。
一度、カゴ落ち 対策を含めて サイトデザインの見直しをしてみてはどうでしょうか?