B2BやB2Cの購買者は、豊富な情報を持ち合わせているので、購入する前に欲しいものについて入念に調べます。例えば、モバイルデバイスを使ってウェブサイトを閲覧したり、ソーシャルネットワークでアドバイスを貰ったり、または友達や同僚に彼らの体験を聞いたり、第三者が投稿したレビューを読んだりと、様々な方法でほしいものについての情報を集め、本当に購入するか否かを判断しているのです。

これまで、マーケターは、適切なパーソナルメッセージを伝えるためには、ターゲットとなる顧客が何を買ったかを把握する必要がありました。しかし今はそれだけではなく、どんなデバイスを用いて購入したのか、また購入にいたるまでの取引がどのようなものかなども把握しなくてはいけません。つまり、今日のマーケターは、カスタマージャーニーを理解することが必要不可欠である、ということです。

カスタマージャーニーとは、電話、デジタル、店舗、直接の面談、放送メディアなど様々なチャネルにおいて、個々の顧客と企業の間で行われた全ての取引とその経緯のことを指します。各ステップの順序、主旨、重要度などを把握することで、マーケターは売上げにつながるトリガー、動機、障害などがわかるようになるのです。カスタマージャーニーの理解を深めることによって特定の製品やサービスをより効果的に販促することに加え、どのようなオファー(特典)が購買者にとって本当に付加価値があるものなのかを判断することに役立ちます。

企業はカスタマージャーニーをどう捉えるべきか

InfoTrendsは、企業300社の経営幹部にカスタマージャーニーについてどう捉えているかを聞いた「カスタマーエンゲージメント技術:市場の現状」を出版しました。カスタマージャーニーでよい実績をつくるには、全てのタッチポイントで最適なデータを活用することが鍵になる、と彼らは言っています。また、データ分析でなにが一番重要かと聞いたところ、良質なカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)データを収集するとの回答が一番多くなりました。そのデータから、顧客をジャーニー全体の次のステップに誘導するための指標を導き出したいと考えている企業が多いようです。

データ分析の取り組み

マーケターがカスタマーとの全ての接点からデータを収集する理由として、カスタマージャーニーを図に表すためです。カスタマージャーニーマップは、カスタマーのライフサイクルの様々なステージを地図化するフレームワークとなります。これを作ることにより、マーケターは、顧客とどのような取引をしているかを包括的に把握することができ、カスタマーエクスペリエンスを改善するため、どの部分に注力すべきか判断することができるようになります。このことからも分かるように、マーケターは以下を念頭においてカスタマージャーニーのデータ収集を行うとよいでしょう。

  • 使用しているデバイス
  • エンゲージメントチャネル(例:ウェブサイト、メール、SNS、SMS、ティスプレイ広告、新聞広告など)
  • タッチポイントの順序
  • どのようなコンテンツが消費されどのような行動が取られているか
  • 各エンゲージメントのタイミング
  • 次回の行動までどの位の期間があるか

InfoTrendsが調査した企業の80%以上が、部署間であろうと部署単体であろうと、なんらかの形でカスタマージャーニーマッピングを行っているといいます。全てのデータを統合することによって、企業は顧客の購買パターンを把握することができ、同セグメント内の他の顧客がどのような行動をするかを予測する基準を作ることができるのです。

カスタマージャーニーマップの作成

企業がカスタマージャーニーを的確にマッピングすれば、それを使ってコミュニケーション戦略を改善することができるようになります。そこから得られた知見を、各タッチポイントとキャンペーン企画のための予算配分、チャネルの最適化、コンテンツ開発のために役立てることができるからです。顧客データと顧客購買経緯を把握することにより、適切なコンテンツを、適切なタッチポイントで、適切な順番に沿って提示するクロスチャネルキャンペーンの設計が容易となります。

InfoTrendsが調査した企業の83%が、カスタマージャーニーの各タッチポイントで、カスタマーコミュニケーションの整合性をもたらす努力をしているといいます。また、82%が、カスタマージャーニーの知見をリアルタイムに可視化できるよう、ダッシュボードを設けていて、更に80%の企業が、ひとつのタッチポイント採集したデータをほぼリアルタイムに他のタッチポイントで展開することができるとように設定をしています。このことからも、企業がカスタマージャーニーで得たデータを重要視していることが分かるかと思います。

今後の最重要課題とは何か

企業の多くは、事業改革の最中にあるといえます。そしてそれは決して容易なことではありません。顧客にとって適切な時間、そして適切な順序、適切なチャネルを通じて、顧客自身に関連性の高い情報を伝えることが企業と顧客間の関係構築において必要不可欠なものになってしまったからです。パーソナライゼーションとマルチチャネル・エンゲージメントをカスタマージャーニー全体の中でどのように整合性を持たせればよいのかを学び、実行していくことがマーケティング活動において最重要課題となってくることは間違いないでしょう。

出典:一般社団法人PODi http://podi.co.jp/

 

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