運営期間に比例して利益が拡大する
CRM戦略とは、顧客情報を活用して顧客の利便性と満足度を高めて友好関係を築きながら長期間にわたって顧客と良い関係を維持して一定の勾配金額を確保することで、顧客の生産価値(Life Time Value)を最大化する戦略です。
従って、CRM戦略は従来のWebや紙媒体広告から多くの消費者を取り込んで売上を拡大させるマスセールスの考え方とは全く異なります。
では、CRM戦略と商品力に頼った従来のマスセールスでどのような差が生じてくるのかを簡単なショップ売上例で比較してみます。EC運営開始時点では新規顧客獲得費用は同額であるにもかかわらず、2年目から大きく差が開いてくるのを確認してみてください。
初年度はWebや紙媒体の広告で新規顧客からの売上は10百万円となり、初年度に獲得した顧客に対しての特別なフォローは実施しない。購入実績のある顧客へのフォローは一斉配信のメルマガとセール情報配信。
結果、2年目もこのECショップでリピート購入する顧客の割合は20%止まり。カートシステムやモールサービスに付属しているメール配信機能を使うため、顧客へのメール到達率やメール開封率などはデータを眺める程度にしか活用できない。
10人に8人は翌年にこの店から買わなくなっています。言い換えれば、別のECショップで購入していると言えます。
初年度は従来のマスセールスと同様、新規顧客から売上を10百万円獲得。新規顧客に対してCRMを活用して販促活動を実施。購買商品に沿ったメール配信やステップメール配信、DM郵送などで顧客の嗜好にあった販促を施行し、既存顧客のランク付け(RFM分析)や購買頻度や累計購入金額などでセグメントした顧客に対しては「VIPセール」などを実施して既存顧客へのフォローを徹底。
結果、2年目の顧客継続率(リピート率)は40%に引き上がった。
初年度での新規顧客獲得数や売上・利益額が同じだったにも関わらず、2年目ではおよそ800万円の差が出てきています。
もちろん、CRM戦略としてCRMシステムの導入、メール配信システム、DM発送や定期購入へのアプローチなどのリピーター獲得に投資しているのでリピート収益率は若干下がるものの、2年目ではリピート率40%あったことから800万円のリピート収益を獲得できているということになります。
この1年で生まれた収益の差は
今後も逆転することはありません。
CRM戦略の場合は
継続する期間が長いほど利益を産む からです。
CPOが高騰する厳しいECショップ経営環境で一人の購入金額を向上させるには、購買点数や購買頻度の向上が必要です。これは ECショップのマーケッターすべてが直面している課題と言えます。
簡単なCRM活用戦略を紹介しましたが、導入時期が早ければ早いほど利益は拡大していきます。多くのECマーケッターは「いますぐの利益」を求めてアクイジション中心の販促を繰り返してしまう傾向にあります。
自社のLTVを算出して運営しているEC事業の現状を数値化(見える化)し、長期的にEC事業をより拡大させるためのCRM戦略を計画、リテンション・マーケティングにシフトして行くことをお勧めします。